成人の8割が罹患している歯周病(歯槽膿漏)とその対策!
2017.03.08
院長で。
【成人の約8割が歯周病の国民】
今日は現在の日本の歯科界での一番の悩み歯周病(昔は歯槽膿漏と呼ぶのが一般的でした)のお話です。よくテレビCMで歯周病に効く!などと謳う歯磨き剤や歯ブラシ、マウスウォッシュなど、関連メーカーも最近は虫歯関連よりも歯周病関連の商品が多く目立つようになりました。歯周病は日本人の成人8割が罹患している国民病ですからね。
虫歯は厚生労働省の発表からも、昔と比べかなり減ってきているのですが、歯周病は逆に増えているのが現状です。歯周病菌は歯と歯茎の境目から体内に侵入していきます。大抵はしっかりとした歯磨きと免疫力によって対処できるのですが、免疫力が下がったり(加齢による免疫力低下や風邪をひいたり、疲れたりなど)すると歯周病菌の勢力が増します。また、歯磨きの仕方が悪かったりすると腫れや痛み、出血などの症状があらわれてきます。これは虫歯による抜歯が減った影響で残存する歯が増え、歯周病が増えている結果ともいえます。
歯周病の自覚症状は、はぐきの腫れです。それも自分でもわからないほどの腫れです。早ければ小学生から始まります。歯周病の初期は歯ぐきのわずかな腫れ程度で、大きな痛みや腫れはありません。歯磨きをしたらたまに出血することもありますが、そしてそれが20年から30年続きます。
※歯周病の進行速度や症状には個人差があります。
【歯周病の進行は非常に遅いので要注意!】
歯周病の進行はその①にもお話ししましたが、20~30年位かけてじわりじわりと悪化していきます。ゆっくり進行する性質は、本人にも悪化の度合いがわかりづらいのが特徴です。体重が増えた減った、顔のしわが増えた、頭髪が減ったなどは他人からも見てもわかりやすいのですが、口腔内の変化は他人からはなかなか分かりませんし、本人でも気づきにくいのがほとんどです。自分も他人にも知れず少しずつ進行するのが歯周病の恐ろしさです。他人がわかるのは「この人、口臭がクサイ!」くらいでしょうか(※歯病以外の原因でも臭くなる場合もあります)
歯周病は自覚症状ないまま少しずつ悪化するのが特徴です。歯周病は一般的に進行が非常に遅いことは先ほどお話ししましたが、最終的には大きな自覚症状が出てきます(大きな腫れや、大きな痛み、大きな歯のぐらつき、物が痛くてかめない等)罹患してから20~30年後です。一般的に患者様はこのような症状が現れて初めて歯科医院に来院されるのが現状です。が、その頃は治療が困難な状況だったり、手遅れ=抜歯のケースが多いのも実状です。
歯周病は歯を支える骨が溶けてなくなる病気です。本来歯は固い岩盤(骨)に杭(歯)が打ち込まれた状態です。その骨が歯周病菌の影響で溶け始め、歯を支えられない状態になるとぐらついたり、腫れたり、痛みが出たりしてきます。海岸の砂浜に棒を刺しても、波でどんどん砂が流され最後は棒が倒れてしまうのと同じです。これが約20年から30年かけてゆっくり進んでいくのです。
※歯周病の進行速度や症状の程度には個人差がありす。
【歯周病にならないようにするにはどうしたらいい?】
今のところ毎日の歯磨き以外に方法はありません。また、歯周病は細菌感染症ですので免疫力が重要となってきます。規則正しい生活を送り、規則正しいバランスのとれた食生活、適度な運動をすることにより、免疫力の低下を防ぎ歯周病菌に負けない体を維持しなくてはいけません。
歯周病治療を行う際、皆さん「歯磨きは一日3回しているのになんで悪くなるの?」という方がほとんどです。しかし、お口の中を見ると歯垢が結構ついています。。「磨いてる」のと「磨けている」の違いです。ご本人はちゃんと磨いているつもりでも、適切な部位に歯ブラシの毛があたり歯垢を除去できていないのです。
皆さん歯を磨く時ハブラシ全体の動きは連想しやすいと思います。でも、ハブラシの毛先がどのように動いてどこに当たって歯垢を落としているかを連想して磨いているでしょうか?私たちプロはある程度行うことができますが、一般の方には難しいのが現実です。だからといって磨き残しができてしまえば歯周病菌は繁殖し続けてしまいます。
【歯医者に行って弱点を教えてもらおう】
一番簡単なことは、歯科医師や歯科衛生士に磨き方を教わることです。歯並びは大きさや形なども含め同じ人は誰一人もいません。皆さん歯を磨いても歯垢が取れているところ取れていない苦手部位がかならずあります。それを見つけてもらい、それに適した磨き方を教わるのです。その時に一番あなたの歯並びに適した歯ブラシやそのほかのツール(糸ようじや歯間ブラシ、舌ブラシなど)も選択してもらってください。患者様に訊くと歯磨きの仕方は今まで誰にも教わったことがない自己流の方がほとんどのようです。でも、考えてみれば自分も頭をシャンプーするのも、体を洗うのも誰にも教わっていません。良くて父や母からなんとなく教わった程度です。ですので、歯磨きもそれに近いものと考えしまってもなんら不思議ではありません。しかし、自分の歯とはぐきを大切にしたいのであれば歯磨きはしっかりとプロに教わり、定期的にチェックしてもらうのが一番良いのです。
【歯周病の治療方法】
残念にも歯周病になってしまった場合はどのような治療方法があるのでしょうか。保険での一般的な治療方法で簡単にご説明すると、軽度の方は検査、ブラッシング指導、歯石取りくらいで改善します。中程度の方は検査、ブラッシング指導、歯石取り+ポケットの奥の歯石取りを行います。そして重度の場合はまず抜歯する可能性が高くなってきます。抜歯を回避できても軽度、中程度の治療を経て歯ぐきの手術になる場合もあります。
細かな治療方法は各先生によって考え方と治療方法が違うので、一般的な流れを書いてみました。こころ歯科大和クリニックでもこの国の治療指導にしたがい、治療にあたっています。
以前にもお話しさせていただきましたが、歯周病も重度になると治療は困難になってきます。歯磨きを丁寧にしても治りません。歯周病で抜歯になった患者様には「もっと歯医者に通っておくべきだった。やっぱり入れ歯は不便」とおっしゃられる方が多いのも現状です。私は今まで多くの方の歯周病を目にしてきました。どんなご商売でも同じだと思いますがその道のプロは先を見る目が肥えています。私たち歯科のプロは口腔内を見ればその方の20年後の口腔内をある程度予想できます(経験にもよりますが・・・)そこから皆様に治療やアドバイスをしているのです。
今や国民病となった歯周病。みなさん死ぬまで自分の歯で噛めたらいいなと思っていると思います。価格が高いインプラントやわずらわしい入れ歯になりたくないのが本音だと思います。そうならないためには個人差もありますがやはり努力が必要です。私はインプラント治療を辞め、入れ歯を専門としていますが皆様にはできるだけ自分の歯で暮らしていただきたいのです。しかし、歯周病菌は手強い相手、そう上手くいかないこともあるでしょう。
やはり歯医者をうまく利用すべきです。歯医者に行きましょう!行ってください!何もなくても歯医者に行って検診を受けてください。そこにはあなたのわからなかった事実が潜んでいるかもしれません。
神奈川県大和市柳橋の歯科医院 こころ歯科大和クリニックでは歯周病治療に力を入れています。